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【悲報】小学校6年生の道徳の教科書【星野君の二塁打】が物議を醸す
投稿日 2021年3月10日 19:41:03 (阪神タイガースまとめ)
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1: 風吹けば名無し 2021/03/06(土) 13:13:11.53 ID:ZEtnR/wbd
(打てる、きっと打てるぞ!)
星野君は、強くバットをにぎり直した。
(かんとくの指示は、バントだけれど、今は打てそうな気がするんだ。どうしよう……。)
ピッチャーが第一球を投げ込んできた。星野君は反射的に、思いきりバットをふった。
バットの真ん中に当たったボールは、ぐうんとのびて、セカンドとショートの間をあざやかにぬいた
。ヒット! ヒット! 二塁打だ。ヒットを打った星野君は、二塁の上に直立して、
思わずガッツポーズをとった。この一打が星野君の所属するチームを勝利に導き、市内野球選手権大会出場を
決めたのだ。
その翌日も、チームのメンバーは、練習を休まなかった。決められた午後一時に、町のグラウンドに集まって、
焼けつくような太陽の下で、かた慣らしのキャッチボールを始めた。
そこへ、かんとくの別府さんが姿を現した、そして、
「みんな、今日は少し話があるんだ。こっちへ来てくれないか。」
と言って、大きなかしの木かげであぐらをかいた。
選手たちは、別府さんの周りに集まり、半円をえがいてすわった。
「みんな、昨日はよくやってくれたね。おかげで、ぼくらのチームは待望の選手権大会に出場できることになった。
本当なら心から、『おめでとう。』と言いたいところだが、ぼくにはどうも、それができないんだ。」
別府さんの重々しい口調に、選手たちは、ただごとではなさそうなふんいきを感じた。
別府さんは、ひざの上に横たえたバットを両手でゆっくり回していたが、それを止めて、静かに言葉を続けた。
そこでぼくは、君たちと相談して、チームの約束を決めたんだ。
いったん決めた以上は、それを守るのが当然だと思う。
そして、試合のときなどに、チームの作戦として決めたことは、絶対に守ってほしいという話もした。
君たちは、これにも気持ちよく賛成してくれた。
そうしたことを君たちがしっかり守って練習を続けてきたおかげで、ぼくらのチームも
かなり力が付いてきたと思っている。だが、昨日ぼくは、どうしても納得できない経験をしたんだ。」
ここまで聞いた時、星野君はなんとなく
(これは自分のことかな。)
と思った。けれども自分がしかられるわけはないと、思い返した。
(確かにぼくは昨日、バントを命じられたのに、バットをふった。それはチームの約束を破ったことになるかも
しれない。しかしその結果、ぼくらのチームが勝ったじゃないか。)
その時別府さんは、ひざの上のバットをコツンと地面に置いた。そしてななめ右前にすわっている星野君の顔を正面から見た。
あの時チームで決めた作戦だった。星野君は不服らしかったが、とにかくそれを承知した。いったん承知して
おきながら、勝手に打って出た。小さく言えば、ぼくとの約束を破り、大きく言えば、チームの輪を乱した
ことになるんだ。」
「だけど、二塁打を打って、このチームを救ったんですから。」
と、星野君のヒットでホームをふんだ岩田君が、助け船を出した。
「いや、いくら結果がよかったからといって、約束を破ったことに変わりはないんだ。いいか、みんな、
野球はただ勝てばいいんじゃないんだよ。健康な体を作ると同時に、団体競技として、協同の精神を養うための
ものなんだ。ぎせいの精神の分からない人間は、社会へ出たって、社会をよくすることなんか、とてもできないんだよ。」
別府さんの口調に熱がこもる。そのほおが赤くなるにつれ、星野君の顔からは、血の気が引いていった。
選手たちは、みんな、頭を深く垂れてしまった。
「星野君はいい選手だ。おしいと思う。しかし、だからといって、ぼくはチームの約束を破り、輪を乱した者を、
そのままにしておくわけにはいかない。」
そこまで聞くと、思わずみんなは顔を上げて、別府さんを見た。星野君だけが、じっとうつむいたまま、石のように
動かなかった。
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Source: 阪神タイガースちゃんねる
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