阪神はヤクルト戦（甲子園）の雨天中止が午後６時１０分に決まり、広島が勝ったため５位に転落した。
阪神・掛布雅之オーナー付シニア・エグゼクティブ・アドバイザー（ＳＥＡ、６４）は試合開始を待つ雨のグラウンドをスタンドで見つめながら、６連敗中のチームにエール。今こそベテランの鳥谷敬内野手（３８）の力が必要と力説した。

阪神は首位の巨人に大きく引き離されたが、まだ５６試合も残っている。可能性がある限りあきらめてはいけない。
ここにきて苦しい戦いを強いられている要因は、若い野手の勢いが止まったことにもある。相手にデータがそろったこともあるし、疲れもあるのだろう。
ここから夏場はさらに体力的にきつくなる。こういうときこそ、チーム一丸、特に百戦錬磨のベテランの力が必要だ。

故障で２軍調整中の福留の戦列復帰も待ち遠しいが、ベンチには鳥谷というカードが残されている。今年は遊撃で勝負するため、キャンプから追い込んだ調整を続けていた。
その「貯金」は必ず長いシーズンのどこかで武器となる。ここまで打率１割４分３厘の打点０と調子が上がらず、使いどころが難しいカードにはなっているが、今こそ有効に使うべきだろう。

例えば、１６日に対戦した中日・松坂のような投球術を駆使するタイプに、鳥谷は合う。早いカウントから積極的に打ちに行く打者が多いなか、仕掛けを遅らせることができる鳥谷がスタメンに加わることで、打線に「間」ができる。
長年、チームの顔として貢献してきた選手。もう一度最前線で勝負する姿は若手への教材となるし、刺激にもなる。

　間もなく新外国人のソラーテも加わるが、未知の力にすがりすぎるのは良くない。阪神の歴代最多２０７４安打を放った鳥谷の技と経験は、今こそ頼りになるはずだ。（掛布　雅之）

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