麻薬犯罪で35年の刑期に服するルーファス・ロシェル受刑者（68）は、
早ければ14日にもフロリダ州の連邦刑務所から釈放され、残りの3年の刑期を姉妹の家で過ごす見通しだ。

しかし、郵便詐欺でカリフォルニア州の刑務所で14年の刑期に服するマイケル・スチュワート受刑者（72）は、
その年齢や呼吸器疾患歴にもかかわらず、現在までのところ釈放を認めてもらえずにいる。

ウイルス感染は既に全米各地の刑務所や収容施設で急拡大しており、検査で陽性判定を受ける囚人や看守が日に日に増えている。

当局者は、非暴力犯罪で有罪判決を受けて再犯リスクが低く、健康に問題のある囚人の保釈や釈放の前倒しを優先していると述べている。
しかし、その決定に関しては依然として刑務官が幅広い裁量を持っており、誰を釈放すべきかを巡って全米で議論が巻き起こっている。

知事の措置は、郡判事が拘置所でコロナ感染を恐れる犯罪容疑者の釈放を認めたことを受けたもので、人権擁護団体からは批判が上がっていた。

危険人物が釈放されるケースも

連邦法執行官協会（FLEOA）のラリー・コスメ氏は「パンデミック（感染の世界的大流行）の際に囚人を感染が拡大している場所に戻すことのどこに公共の利益があるのか」と指摘。
囚人を釈放すれば、ただでさえ外出禁止措置や感染リスクで負担が増している法執行当局者に一段と負荷をかけることになると述べた。

犯罪被害者の権利を擁護する団体や警察署長の一部は、釈放された囚人の中には危険人物もいると不満を訴えている。
カリフォルニア州サンノゼの警察によると、銃犯罪と麻薬取引で起訴された囚人2人が感染懸念によって釈放された。
同様の理由で釈放されたニューヨーク市ライカーズ島の囚人は、現地メディアの報道によると、銀行強盗で先週起訴されていた。

ニューヨークやシカゴ、ロサンゼルスなどの米国の大都市では通りに人けがなく、全般的に街頭犯罪が急減している。