【赤堀元之　〝猛牛〟世紀末守護神（１８）】野茂英雄さんのフォークって落ちる前に浮くんです。手が大きいし、親指の位置、投げるときに手首を動かさないというのがそんな変化になるんじゃないかと思います。他の変化球はそうでもないけど、フォークと真っすぐがズバぬけていい。真っすぐも右腕を上まで上げて投げるから角度がつく。投げる位置は変わらないから打者は真っすぐか、フォークか分かりませんよ。

　球種２つでなかなか勝てないですよ。そこは三振取るフォーク、カウントを取るフォークとイメージを持って投げていました。考えてなさそうでいろんなことを考えてて、ウエートトレや食事法はコンディショニングの立花龍司さんと取り組んでいました。

　仰木彬監督は野茂さんのフォームを触らないよう周囲に徹底し、信頼していたと思います。ただ、１年目の１９９０年はオープン戦から春先までなかなか調子が上向いてこなくて、仰木さんも「どうなってるんや」と呼んで怒ったらしいですよ（笑い）。結構打たれてメディアも厳しい見方になっていて、そんなこともあって発奮して勝ち始めていくんです。

　その年は１８勝８敗で最多勝、防御率２・９１、２８７奪三振、最高勝率、ＭＶＰ、沢村賞とタイトルを総ナメ。そこから４年連続で最多勝だし、しかも２３０とか、２４０イニングとか投げるんだからすごいっす。完投してくれるんで僕は投げなくていい。中継ぎ陣はゆっくり試合を見れます。序盤に大量失点とかにならない限り、負けていても最後まで投げる。首脳陣の間で決められていたと思うし、本人のこだわりがあったんでしょう。１３０試合で３０試合近く先発するわけだから平均して８回は投げないとそんなイニングにならないですよ。

　制球力がよくなくて四球が多い。でも初回から３連続四球になっても「野茂さんのことだから０で抑えて帰ってくるだろう」と思って見てたらやっぱり三者三振で帰ってくる（笑い）。野茂さんはそんなピッチャーなんだって思ってますもん。馬力がすごい。

　よく食べますしね。寮生活の時はご飯、みそ汁、おかずがセットされた配膳があって、他におかずのお皿を各自が自由にいくつか取れるんです。僕なんかは食が細かったので配膳だけでもおなかいっぱいなんだけど、野茂さんは５皿くらい周りに置いてました。

　遠征中、餃子専門店に行ったら１人で１００個くらい食べてました。小さめのやつなんで１つずつ食べるんじゃなくて横からゴソッと箸でまとめて取って食べる（笑い）。すし屋に行ったらトロウニ、トロウニばっか…。でも、栄養バランスは考えていたと思いますよ。タニマチとかと行くのは好きじゃなくて、投手仲間で行ってわいわいやるのが好きでしたね。

　でも９３年から就任した鈴木啓示監督とは合わなくて…。

　☆あかほり・もとゆき　１９７０年４月７日、静岡県藤枝市生まれ。静岡高のエースとして２年夏に甲子園に出場し、８８年のドラフト４位で近鉄に入団。リリーバーとして頭角を現し、４年目の９２年に最優秀救援投手と最優秀防御率をダブル獲得。９２～９４年、９６～９７年と５度の最優秀救援投手に輝いた。その後は故障に苦しみ、２００４年に引退。指導者としてオリックス、ヤクルト、中日、韓国ＳＫで投手コーチ、ＢＣリーグ・新潟で監督を務めた。２２年から関メディベースボール学院でコーチをしながらテレビ解説者としても活躍している。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ced430e1f394f864d100db5bd06737bd97c4cd96

まぁ引退後の腹見る限り納得やろ

スタミナお化けなのも納得