6回裏、糸井嘉男が打席に立つと、ネクストに鳥谷がバットをもって立った。球場は沸いた。
糸井は三振、ここで3打数2安打している上本に代わって代打鳥谷が告げられる。

歓声の中、打席に立った鳥谷は、3球見送った。巨人の投手、桜井はボールが内角に行かないように気を遣っている感じがした。
4球目、鳥谷はぼてぼてのゴロを打つ。三塁、マギーが救い上げて一塁へ。
鳥谷はベンチに下がり、すぐにロッカールームへと消えていった。

わずか数分のこのプレーの意味するところは何か？

得点は6-1、阪神が大きくリード。投手メッセンジャーは安定しており、勝利は堅いとみられた。
上本を代える必要性は全くなかったが、終盤に入って万が一試合がもつれた時には、鳥谷の起用が難しくなる。

試合の本筋とは関係のないところで、鳥谷を出しておこうという金本監督の肚積りが見て取れる。鳥谷もそれを理解して打席に立った。
安打を打つ必要は全くなかった。もし出塁すれば、即座に代走を送られただろう。

こういう「茶番」を許す土壌については、別稿で考えたいが、連続試合出場記録という記録の欺瞞性が象徴的に表れている。

選手と指揮官が談合すれば、この記録はいくらでも延ばすことができる。
鼻骨だけでなく、どこを骨折していようと、どんな病気になっていようと、打席に立つことができれば、いくらでも延ばすことができるのだ。

金本監督が、躊躇なく鳥谷の連続試合記録の存続に加担したのは、言うまでもなく自身もそうしてもらったからだ。
そして金本にはチームの大先輩にあたる衣笠祥雄が同じように打席に立ったことがあるからだ。
衣笠祥雄は、1979年8月1日の巨人戦で、西本聖から左肩に死球を受けた。
肩甲骨骨折の重傷だったが、翌日の試合には代打で出場し、江川卓から三球三振している。

ここまでしてこの記録を伸ばす価値がどこにあるのか。
何がいいのか、私には全く理解できない。

試合に出てチームに貢献できない選手が、一個の記録のために試合に出してもらえる。何がいいのだろうか。

骨折が癒えるまで、私たちはクマさんの顔をした、戦力でもない選手が試合の途中に打席に立つのを見なければならないのか。
面白くもないショータイムに付き合わなければならないのか。
http://baseballstats2011.jp/archives/51359607.html

鳥谷じゃないんだよなぁ

勝利とは関係ない｢私的な事情｣ですもんね(笑)